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CASE4 サウナやりたい!

中島惇生さん(KIWAMI)

株式会社REVIVE 代表取締役 27 歳
クラウドファンディングでサウナ施設史上初の1,000 万円超を集めた「KIWAMISAUNA」、サウナ飯居酒屋「食堂きわみ」を2022 年11 月末に同時OPEN。新卒で三菱UFJ 銀行に入社。2021 年10月に退社し株式会社REVIVE を創業。

河野晋さん( 大家)

幼少の頃、毎週末は祖父母宅にて過ごす。名古屋を離れた後、大好きな祖父母宅が更地になると聞いて、借主探しに奔走する。
※ オンラインにてインタビュー

 

大家さんの視点

河野 晋さん

思い出の詰まった建物を残したい

名古屋駅にも程近いこの家では、かつて祖母が一人暮らしをしていましたが、亡くなってからはずっと空き家のままになっていました。昨年、父から「どうにかしてくれないか」と頼まれたんです。幸い、立地も良く、不動産屋さんからも関心を寄せてもらっていたようです。建物を壊して新しく施設を作るという案件を紹介されたものの、なんとなく気が進まなくて…。

僕にとってここは子供の頃からの思い出が詰まった愛着のあるおばあちゃんの家。できれば壊さずに、建物の良さを活かした使い方をしてもらえたらという気持ちがあったんですよね。

逆転の発想からたどり着いたさかさま不動産のサイト

でも、その提案をきっかけに、借りたい人の要望を大家側に逆提案することもできるということに気づいたんです。逆転の発想ですよね。もしかしたら、そういうサービスがどこかにあるかもしれないと思ってWEBで探して見つけたのがさかさま不動産のサイトでした。

すぐ連絡を取り、水谷さんと藤田さんにお会いしました。第一印象は今でもよく覚えてますよ。いわゆる〝不動産屋の営業です〟みたいなビジネスな雰囲気とはまったく違ってて驚きました。自由で楽しそうに仕事してる人たちだなっていうのが自然と伝わってきたんです。

二人にまず家の中を見ていただきました。すると水谷さんが「庭がすごくいいね!」って言ってくれて。庭師の経験もあるという水谷さんがそう言ってくださったことが嬉しかったので、すごく印象に残っています。建物自体、かなり古いんですが「その割にはしっかりしているね」とも。

すべて前向きに捉えてくれるし、古いものの価値やそこにある愛着まで理解してくれる。この人たちならきっと良い方を紹介してくれるだろうなと感じた瞬間でした。そう思えたことがさかさま不動産に託そうと決めた一番のポイントですね。

まちなかの古民家をサウナに⁈

とは言いつつ、紹介していただいた中島さんの希望はなんとサウナ。正直びっくりしましたが、中島さんが「この庭だったらすごく良い感じで外気浴できますよ!」と言うのを聞いて、僕も不思議にスッと納得しちゃって。自分では考えつかないアイデアですし、楽しみな気持ちの方が大きくなりました。

あれから1年経ち、いまは家族みんなで喜んでいます。特に父は、空き家にしておくことでずっと心の負担を感じていたようですし、庭も建物も有効に使ってもらえることがとても嬉しそう。それが本当に良かった。

僕はいま、仕事の関係で石川県に住んでいて工事の様子も見に行けていないのですが、オープン後にサウナを体感するのが楽しみです。サウナの魅力は中島さんに出会ってすぐの頃にしっかり教えてもらいました。実はそれまでほとんど行ったことがなくて、サウナのお作法とか入り方とか全然知らなかったんです。一番感動したのが水風呂。サウナで熱くなったところから一気に冷たい水にシュッと入ってボーっとする。あれを体験してみて、中島さんの建物へのこだわりがよくわかりました。うちの庭でやったら最高だろうなということがばっちりイメージできたんです。

新しい概念が空き家問題の解決に

一般的に不動産の契約は、まず不動産自体に価値があることが前提。だから古い建物の場合には不向きなのかなと思うんですよね。不動産屋さんに相談しても、古いから価値が付かないとか、借り手は見つからないですよ、みたいな扱いをされてしまうし、安易に壊して建てかえられたりしてしまうことも多い。近ごろ盛んに言われている空き家問題も、そういうところに理由があるんじゃないでしょうか。

さかさま不動産ははじめから概念が全然違いますよね。借り手と大家の想いを繋ぐことを何よりも大切にしてくれる。こういう新しいアプローチが広がっていけば、空き家にまつわる課題の解決にも寄与していくのかなと期待しています。

借り手さんの視点

「KIWAMI」社長
中島 惇生さん

環境の揃った〝聖地〟で理想のサウナを作りたい!

鳥取出身の僕が名古屋に来たのは、金融機関に勤めていた時の転勤がきっかけでした。会社員の時代にサウナの魅力にはまって、「サウナで起業をしよう」と思い立ち、前の会社を退職しました。

名古屋にはコアなサウナ好きが多いんです。フィンランド式のサウナを初めて日本に導入したといわれる、サウナ好きたちの聖地のような有名な施設がありますし、あとはなんと言っても水。名古屋市の水道水はすごく綺麗。水風呂の水質ってすごく大事なんですよ。環境が整った名古屋でサウナをやろうと決めて、いろいろな人たちに構想を話しました。

実際に物件も探し始めていた時、ある集まりで藤田さんに出会い、さかさま不動産のことを知ったんです。サービスのコンセプトを聞いて、「これは面白そう!」と。その頃、いわゆる普通の不動産屋さんに紹介してもらって、すでに20 〜30 件はあたっていました。しかし、サウナと聞いただけで不動産屋さんからも後ろ向きな反応をされるし、オーナーさんも現状復帰が難しいという理由で拒否。そもそも検討さえしてもらえないことがほとんどでした。

出会いの瞬間から実感できる大家さんとの良好なコミュニケーション

藤田さんに勧めていただき、さっそくさかさま不動産のサイトに載せる” やりたい想い” を書きました。こういう方法で物件やオーナーさんを探すのは初めてでしたが、おかげで河野さんと繋いでいただくことができました。

家の中を見せていただいた瞬間、「めっちゃいい雰囲気!」と思いました。お庭を見たときも、ここで外気浴したらすごく気持ちいいだろうなぁって。正直、実現の可能性は未知数だったので、「ここでサウナは難しいかな」とも思ったのですが、さかさま不動産のみなさんの前向きな姿勢に後押しされ、僕自身もやりたい想いが強かったので、サウナユニットを入れるなど、できる方法を考えて提案しました。

河野さんを誘って一緒にサウナにも行きました。大切なお家を貸してもらってサウナをやるのなら、まずはその魅力を知ってもらうことが礼儀ですから。大家さんに、「サウナってこんなに良いんですよ!」と実感してもらいたかったし、何より僕自身が、誰かと一緒にサウナに行って良さを伝えるのが好きなんです。

一般的な不動産屋さんとの大きな違いは、さかさま不動産の人からの紹介ということで、お会いした時からオーナーさんが好意的なこと。僕の場合は特にサウナという特殊な使い方なので、「話は聞くけど、まず無理だよ」みたいな反応をされてしまうことばかりでした。でも、オーナーさんとの信頼関係ができている中で会わせていただけるので、コミュニケーションがすごくスムーズ。そこが大きな魅力だと思います。

チャレンジを応援してくれる仲間のようなさかさま不動産

僕自身、見た瞬間からこの建物にすごく魅力を感じながら、「古民家でサウナは無理だろうな」という不安も感じていました。紹介していただいた手前、みなさんにはそうは言えなかったんですけど。

でもさかさま不動産の方たちは僕の想いをずっと応援してくれていました。何十件も断られ続けて諦めかけそうになっていたにも関わらず、「藤田さんの紹介だからオーナーさんに会ってみよう」と思えたのも、この人たちならきっと何かあるんじゃないかと希望を持てたから。結果、やりたかったことを諦めずに実現できたことが本当に嬉しい。

まずは名古屋で1号店をスタートしますが、僕にとってどこを拠点にするかはあまり重要ではありません。将来的には名古屋以外のいろんなまちに大好きなサウナを増やしていけたらと思っています。

▽「さかさマガジン」の全文はPDFでも読むことができます。

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