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CASE1 本屋を開業したい!

古賀 詩穂子さん ( 借主:TOUTEN BOOKSTORE)

愛知県出身。元・出版取次、その後上京し本屋の企画運営に携わる。独立後、
名古屋 / 金山にコーヒーやビールも飲める新刊書店「TOUTEN BOOKSTORE」
を開業。2階にはギャラリースペースとカフェの席もあり、コーヒーやビール、
ヴィーガンクッキーなどがたのしめる。読書会やトークイベントも多数開催。日々
の生活の中で息つぎができる場所となるようなお店づくりをしている。

河田さん

Happyie 代表。
住宅設備メーカーを退職し起業。
現在は不動産賃貸業を営んでいる。

 

大家さんの視点

河田 さん

住居用に購入した小さな二階建て物件

この建物は元々僕が自分の住居として使うつもりで購入しました。しかし、リフォームをしようと思っていた矢先に転勤が決まり、住むことができなくなりました。

そのため誰かに借りてもらえたらと思い不動産屋を通じて募集したところ、飲食店をやりたいと言う方が見つかりました。ところが開店前、コロナ禍に。経営も厳しくなったそうで、結局その方は出て行くことになり、再び空き家となってしまったんです。
そんな時にさかさま不動産のサイトで古賀さんに出会いました。

サイトで見つけた熱意あふれるやりたい想い

Google アラートに「不動産」というワードを入れて毎日情報をチェックしていたので、さかさま不動産の名前はサイトができる前から知っていました。たまたま見つけて「こんなんができるんや、面白そうやな」と興味を持っていたんです。

その後、本格的にサイトがオープンしたと知って、早い方がライバルも少ないだろうと思いさっそく使ってみました。当時は今ほどたくさんの情報は掲載されていませんでしたが、古賀さんの” やりたい想い ” を目にし、すぐに直接メッセージを送りました。

古賀さんの想いの強さがすごく伝わってきて印象的で、直感で「この人だ!」と。初めて古賀さんとお会いした時、名刺代わりにとご自分で作られた冊子をいただいたんです。それを見て改めてすごいと思いましたね。こんなことができる人ってなかなかいない。

当時、他にもこの物件に問い合わせがあったんですが、やっぱり古賀さんに借りてもらうのが一番いいなと、その時に心は決まりました。

僕自身、親が本屋さんや図書館によく通っていたので、その影響なのか今でも毎週欠かさず愛を運ぶほど本屋さんが好きですね。ここが本屋さんになるんだと思うとワクワクしましたし、古賀さんの熱意に触れて、チャレンジする人を応援したいという気持ちも強くなりました。

顔の見える関係性が大きな安心感に

さかさま不動産の一番の良さは、物件を探している人の ” やりたい想い ” がサイトに掲載されていることです。どんな人がどんな想いで借りたいと思っているのかが非常にわかりやすい。貸す側として、ここはすごく重要です。

やりたい想いにしっかり労力をかけられる人はそれだけで信頼できるし、さかさま不動産の人が間に入って、お互いに顔が見える関係性を最初から作ってもらえるので安心感が違います。他の不動産業者を利用した経験もあるのでわかりますが、一般的に借り手さんの情報は、ほとんどわからないまま交渉が進むのが基本です。

建物の不具合や家賃の問題など、物件の貸し借りにトラブルはつきものですけど、そういうことはすべて不動産屋さんにお任せで、相手に直接会うことはほとんどありません。煩わしいことを代わりにやってもらえるので、そこがメリットとも言えるのですが、その一方でどんな人が借りてくれるのか、お互い顔が見えていることもとても大事。
最初からしっかり信頼関係が作れることが、本当の意味での安心感につながると思います。

借り手さんの視点

TOUTEN BOOKSTORE
古賀 詩穂子 さん

地元でまちの本屋さんを開きたい!

東京で本の仕事をする前から、いつか地元の名古屋で本屋さんをやりたいという夢がありました。具体的に何も進んではいないけど、そろそろ名古屋に戻ろうかなという頃、自分で「読点 magazine、」という ZINE を作ったんです。それに興味を持ってくれた新聞記者さんが取材をしてくださり、その方にさかさま不動産のことを教えていただいたんです。

すると、その日のうちに(さかさま不動産の)藤田くんに会って、すぐサイトに “やりたい想い ” を載せようということになり。掲載した直後に河田さんから連絡をいただいて…その間 1 ヶ月もなかったと思
います。とにかくスピード感がすごかった(笑)

不思議な縁を感じた大家さんとの出会い

実は連絡をいただく前、たまたま別の不動産サイトでこの物件を見つけていたんです。良さそうだなと思って。でも心の準備もできていないし、お金の工面もしなくちゃいけない。そんな状況でいきなり問い合わせるのは心細くてスルーしていたら、なんと次の日、さかさま不動産のサイトを通じてその物件
の大家さんだという方から連絡が来てびっくり。それが河田さんだったんです。すごい偶然。

すぐお会いしましょうということになって、挨拶代わりに直接「読点 magazine、」をお渡ししました。でも当時、まだ私の心が決まっていない状態。その間、河田さんのもとには他に借りたいという人からの問い合わせが何件もあったと聞きました。でも河田さんは本屋をやりたいという私の想いを応援してくれて、準備が整うのを待ってくださったんです。本当に感謝ですね。

これからのさかさま不動産に期待すること

さかさま不動産のような仕組みや考え方は、東京で展開したらよりマッチしやすくて、もっとたくさん面白いことが起きそうだなと思います。理由としては東京は物件数が多く、情熱を持って何かに挑戦したいと思ってる人も圧倒的にたくさんいるだろうし、大家さんにも面白い感覚の人が多いと思うからです。藤田くんにも「東京行かへんの?」って何回も言ってるんですよ。

古賀さんのお店もオープンまでにいろいろと大変なこともあったと思います。もう 2 年経ったんですね。地域に馴染んでいろんな人を結び付けている様子を見ていると、さすがだなと思います。最初に受けた印象は確かでした。あのまま僕が自分の住居として住んでいたら、こういうことは起きていなかったでしょうね。

開いた場所があれば
人と人とは自然につながる

自分で店舗物件を借りるという経験がそれまで一度もなかったので、他のサービスとの比較はできません。でも大家さんとの距離が近いのは大きな安心感だなと感じています。何か起きても気軽に大家さんに連絡ができるってすごく心強い。そういう関係性ができていることで、地域の人たちとのコミュニケーションもとりやすいなと感じます。

オープンして2年。まだまだこれからです。地域に根付くには長く続けることがとても大事だと感じます。先日も、まち探検の授業でお友達や先生と一緒にお店に来てくれた小学生が、別の日に家族を連れて本を買いに来てくれたり、本の注文をしてくれるご近所さんが口コミで増えていったり。そういう小さな出会いの積み重ねがお店を続ける面白さだなと感じています。

続けていると地域の人たちが見つけてくれて、少しずつ存在を知ってもらい、まちに溶け込んでいける。時間がかかることだけどその過程を大切にしていきたいです。

実際に「お店」という場所があると、人と人とがどんどん繋がるんだなというのもやってみてわかったこと。私が間に立ってお客さん同士を紹介したり、あえて繋げようとしなくても、場所があれば知らず知らずのうちに繋がっていくんです。そんな様子を見ているだけで面白いし嬉しい。

単に物件の貸し借りを仲介するだけでなく、人と人とが繋がることを重視しているさかさま不動産の仕組みも、それと同じかもしれませんね。貸す人、借りる人、お互いの顔が見えているからこそ、建物や地域との関わりの深さも大きく違ってくるのだと思います。

2年続けてみて、この場所の活かし方のバリエーションも広がってきました。これからもっと面白いことができそうだなと感じています。

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