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空き家について聞かせてください!

Q1:なぜ今空き家が問題になっているの?
A1:人口減少により空き家の存在が目に見えてきたから。

おそらくこれほどまとまった数の空き家に直面すること自体が日本にとって初めてで、過去になかった事態が起きているからでしょうね。

それまでの日本では、人口に対してずっと家が足りない状態が続いていました。高度経済成長期(1955 〜 1973 年頃)と呼ばれた時代、仕事場と住まいを分けた新しい暮らし方という価値観が広がって、そのベースとしての「家」を増やさなければということで団地や新興住宅地のようなさまざまな種類の住居ができていったんです。

しかしいま、その頃30代、40代の働き盛りだった人たちが高齢化しています。
日本の人口は 2005 年あたりを境に減少に転じて、いよいよ住む人を失った空き家の存在が目に見えてきたたというわけです。家を増やすことに一生懸命だった時代には誰もがそこまで想定していなかったんでしょう。

Q2:家の価値観はどのように変化したのでしょうか。
A2:継ぐものから買うものへ移り変わっていった。

高度成長期以前の家というのは、家督を継ぎながら何代にもわたって守っていく一族の象徴のような存在でした。概ね生業とともにあって、例えば農家だったら農地の近くに、漁師さんは港の近くに家を構えて暮らすというように、家と仕事とがほぼ分かち難いものでした。それが 70 年代頃、郊外を伐り開き新しいまちを作るようになって初めて分離されます。郊外に作られた新しい家は、簡単に言ってしまえば「商品」とも言える。家は代々守り続けるものという概念から、お金で買う商品になった。実はこの違いはすごく大きいのです。

家を商品と捉える人が多ければ、安易に手放された物件が大量に出てくるのは必然です。また、
代々受け継いできた家族の象徴としての家でさえ、いまやその多くが瓦解しかけているのも事実
です。バトンを継ぐ先がなくなれば、地方に根付いて生きてきた人たちまでもが家から出て行っ
てしまう。そこに一族の墓標のような空き家だけが残されるという状況が増えていきました。

Q3:空き家を多く抱える地域にとって必要なことは?
A3:「住む」と「仕事」を近づけること

もう一度「住む」と「仕事」を近づけていき、暮らす場所で何かをやってみようという人を増やすこと。仕事と住まいがセットになっていれば、その場所に住む意味が持てるようになります。そのためには、空き家を使ったチャレンジということがすごく重要になってくるわけです。

地方に残る昔ながらの家は、実は今でもやろうと思えば一次産業的な仕事ができます。そのためのロケーションがすでにそこにあるからです。日本の人口は 50 年後には今の半分になるとも言われていますし、おそらく今後は寝に帰るためだけに作られたような郊外のまちは、人口も税収もどんどん減ってしまうという困った現象が増えていくでしょう。

住まいは仕事場に近いに越したことはないし、通勤も楽な方がいい。仕事のある場所に住みたいと考える人がこれからは確実に増えると思います。

Q4:現代の空き家の課題はどんなところにありますか?
A4:商品価値のない物件が無視されやすいところ

商品価値のない物件が無視されてしまう。実際、空き家ってそっちの方がものすごく多いんですよ。商品になりづらいものをどう流通させていったらいいかというのは大きな課題です。

放ってはおけないし、誰かがやらなければいけないんだけどお金にはならない。どうしたらいいんだという状況があります。

Q5:空き家を流通させることに必要なのは?
A5:大切な家を安心して委ねられる仕組みづくり。

「家は単なる商品ではない」。そう思っている人たちに心から納得してもらうことが大切だと思います。

この場所で、この家で、熱意を持って何かにチャレンジしようとしている人がいる。家の持ち主がその想いをちゃんと理解できれば、安心して大事な家を委ねたいと思えるはずです。そのための物語を丁寧に作らないといけない。

その手段としてさかさま不動産の取り組みは非常に有効で、実際に結果も出ています。「家」の価値が理想的に受け継がれていくためにも今後はもっと広がっていくべきだと思います。

Q6:さかさま不動産について最初の印象は?
A6:めちゃくちゃ面白いと思いました。

最初に構想を聞いた時は、とにかくめちゃくちゃ面白いと思いましたし、やる必要があるとも感じました。けど、やっぱり僕も初めは「どうやってお金になんのやろ?」と思っていましたね(笑)。

だけどこれってものすごく当たり前のことで、お金になるんやったらすでに誰かがやって経済を回収してるはずなんですよ。そうじゃないから誰もやらなかった。だからこそ、あえてお金にしないことが重要なんだろうなっていうことは直感で理解できたんです。

経済の方へ寄せてしまうと、結局またそこからこぼれ落ちてしまうものが出てしまいます。家の貸し借りだけでなく、そこに関わった人たちみんなが本質的なところで満足できること。そこがさかさま不動産の大きな価値であり、これからの時代に求められる大事な仕組みだと思います。

Q7:最後にさかさま不動産について聞かせてください。

結局のところ、お金じゃなく本質的なところで満足できるってことが、人間の行動のエネルギーの源泉だと思います。お金や名声を手に入れるなんて実はまやかしで、自分たちが生きていくための原動力って目の前の誰かが喜んでくれること以外にない。

世の中にそれが循環していることが重要で、お金にならないことをやって得られる満足は人に奪われようもないし、誰がやったって構わない。その価値は、やってる人たち個々人の中にしかないですから。

大事なのはさかさま不動産のようなムーブメントをどんどん広げていくこと。それにはまず、お金になるかならないかが基準ではない概念や価値観を浸透させていくことなのだろうと思います。

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