• その後の物語

やってみたからこそ、見えたこと。~間借りマッチングのその後~

熊本の間借り挑戦者・岩佐さんが教えてくれた“柔らかい終わり方”と、これから

「諦めたくない。でも、焦らなくてもいいと思えるようになりました」

熊本県で間借りに挑戦した岩佐友恵さん。さかさま不動産でのマッチングを通して、飲食という夢に一歩踏み出した挑戦者の一人です。

間借りから1年弱、現在は一旦間借りを卒業しました。ただ彼女が歩んだプロセスには、岩佐さん自身と、これから挑戦しようとする誰かの背中を押すヒントが詰まっています。

「いつかは自分の店を持ちたい」―さかさま不動産でマッチングへ

2児の母、岩佐さんは、販売員のパートをしながら、大好きな料理や菓子作りを生かし月一でシェアキッチンでランチ営業をしていました。テイクアウトや菓子製造などもできるお店で、母として親として誰かのケアをする人たちの役に立ちたいと考え、その「やりたい想い」をさかさま不動産へ掲載しました。

掲載時、熊本での掲載は岩佐さんだけ。内に秘めたやりたい想いを発信できたことで満足すら感じていた岩佐さんですが、なんと、身近なところに応援者がいたのです。

岩佐さんに共感した、同じ市内の飲食店オーナーさんとの出会い

熊本市内にある人気タイ料理「路家(じっか)」。オーナーの永野さんは、店舗の未使用部分の間貸しを検討していた時、岩佐さんが出店するシェアキッチンのSNSから偶然さかさま不動産の記事を発見。永野さん自身も10数年前に飲食事業をスタートした際、別の飲食店の間借りをした経験から、受けた恩を次につなげたいと岩佐さんにお声掛けしたそうです。

営業は月1回。試行錯誤も体が追い付かなくなり…

永野さんは新しい商品の開発などにアドバイスしたり、買い忘れたものを買いに行ってくれることもあったとか。コラボメニューを考案するなど、場所の貸し借り以上に「飲食店の先輩」として力を貸してくださいました。

毎月1回の営業日は毎回ドタンバタン。その中でも『美味しかったよ』『また来ます』という言葉に支えられたと岩佐さんは毎回SNSでも感謝を伝えていました。改善したいこと、やりたいことは増える一方、少し無理がたたったようです。

「5月からは毎週金曜に出店を続けるつもりだったんです。でも体調を崩してしまって、家庭にも負担が出始めて……。それを一番に心配してくれたのが、家主の永野さんでした」

すべての事情を打ち明けると、永野さんは「今は無理してやるべきじゃない」と声をかけてくれました。“借りてもらうことで店が潤う”はずの家主が、あえて「やめよう」と言ってくれたことに、岩佐さんは救われたと話します。

永野さんのアドバイスでチャレンジした、バインミー

「両立」じゃなくて「ピボット」。新たな選択肢の発見にも。

体調不良に加え、家族の事情も重なり、1度間借りを卒業することを決断した岩佐さん。そこには「失敗」ではなく、「見直し」の感覚がありました。

「両立っていうと、全部を50:50で持つイメージが強い。でも実際は、時期によって重心は変わっていいんだと気づきました」。その時によって、家庭を優先する日もあれば、自分の活動に集中する日もある。そんな「変動性のある立ち方」を意識するようになったと言います。

また、これまでは一人でやるのが向いていると考えていたものの、間借り営業で経理も広報も調理も接客もすべてを一人で担う経験をしたことで、「私はグループでやる方が向いてるのかもしれない」と初めての気づきも。今後は複数人で支え合う形、例えば「曜日別で店番をする」「補い合えるチームでの運営」など、無理のない形で再挑戦してみたいと語ってくれました。

永野さんに挨拶に行った時は涙が止まらないほど、くやしさや、申し訳なさ、感謝の気持ちがぐるぐる。でもそれは、決して“挫折”ではなく、“区切り”。今の自分を大切にし、未来につなぐための区切りでした。

最後に:岩佐さんから、これから挑戦する人たちへ

「“両立”じゃなくていい。“一旦休む”も立派な選択。自分の“やりたい”をあきらめないために、バランスを見つけていくのが大事だと思います」

自分だけで背負わない。時に立ち止まる。誰かと一緒にやってみる。そんな柔軟な「挑戦」があってもいいのかもしれません。

岩佐さんの経験は、まさに「やってみたからこそ見える景色」があることを教えてくれました。

編集後記(さかさま不動産・水谷)

「本当に“共感から始まるマッチング”だったんだなって思います」。

さかさま不動産のマッチングが「家賃の取引」ではなく、「人と人の関係性」であることを、岩佐さんの例が象徴していたと改めて感じました。貸す側なのに“やめた方がいい”って言えるのは、すごい関係性。
さかさま不動産で起こるマッチングが、どういう関係性を生み、余白や信頼がどう挑戦を支えるかをリアルに実感しました。

僕自身もいち経営者として、「やってみないとわからないことがある」「一人で全部やらない方がうまくいくこともある」という岩佐さんの言葉に大きく共感。
挑戦には、失敗できる“余白”や、教えてもらったりアドバイスしてもらう“関係性”が必要だと改めて思わされました。


さかさま不動産ってなんなのか??どうやって続けるの???
と毎日考えますが、こういった物語に触れることで僕の余分な思考は全停止し、「やって良かったに決まっている」となります。
自分が何かを達成するより、誰かが「良かった」って言ってくれる方が10000倍嬉しい。
改めて、岩佐さん、永野さんに感謝です!!!

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